首都高速道路株式会社様はアルティウスリンク株式会社様のサポートにより、お客さま第一を実現するセンターの体制強化を目指し、24時間365日受付体制の構築、非常時の柔軟な人員体制の整備、カスハラ対応の強化を実現しました。カスハラ対策として、首都高速道路様の「切電(カスハラ対策)マニュアル」の運用サポートを実現するため「AmiVoice®Communication Suite」を導入しました。その結果、非常時の安定運営とカスハラ対応によるオペレーターの心理的負担が少ない業務環境が実現しました。
非常事態発生時における「非常参集体制」の構築で安定運営を実現
電気・通信といった生活インフラ領域の業務支援実績が豊富なアルティウスリンク様には、非常時でも事業を継続しつつ、オペレーターが安全に出勤できるための仕組みを構築・実践してきた知見があります。このノウハウを生かし、公共交通機関が止まった際も、代替手段で出勤可能な人員をあらかじめリストアップして備えることで、非常事態発生時にも安定した運営を保てる体制を構築しました。
カスハラ対策を支える音声認識システムの導入で安心できる環境整備
首都高速道路様では、カスハラ対策として、「切電マニュアル(カスハラ対策マニュアル)」を策定し、一定条件下での切電をルール化しています。このマニュアルの運用をサポートする音声認識システム「AmiVoice®Communication Suite」をアルティウスリンク様の提案により導入し、会話の可視化やリアルタイムアラート表示、応対履歴確認が可能になりました。さらに、対応内容が客観的に記録されることで、マニュアル遵守を正しく検証できるようになりました。オペレーターからは「電話応対に前向きになれた」「守ってもらえる安心感は大きい」という声があり、心理的負担が少ない業務環境を実現しました。

首都高速道路様とアルティウスリンク様対談インタビュー

首都高速道路株式会社 CS・サステナビリティ推進部
サステナビリティ推進企画課 課長
恩田 和典 様(写真右側)
アルティウスリンク株式会社 法人ビジネス第2統括本部
ソリューション第3本部 第1営業部 部長
黒澤 裕之様 (写真左側)
24時間365日の安定運用開始と新たな課題
-当時の課題とアルティウスリンク様への業務委託の経緯を教えてください。
恩田様(首都高速道路)
当時は自社でお客さまセンターを運営していましたが、24時間365日のお問合せに対応できる体制を実現するには、人員の確保やそれに伴う労務管理が大きな課題でした。 ETCの普及で料金所での対面対応が減少する中、お客さまとの数少ない直接の接点として機能し続け、当社が経営理念として掲げる「お客さま第一」の体制を実現するためには専門会社への外部委託が必要だと判断し、入札による複数社の比較検討の結果、アルティウスリンク様に業務を委託することとなりました。
委託当初は運営上いくつかの課題に直面しましたが、アルティウスリンク様との連携によりひとつずつ解決し、おかげさまで現在の24時間365日の安定稼働に至っております。人員規模と、それにともなう複雑なシフト管理や多様な勤務形態での労務管理を考えると、あらためてアルティウスリンク様にお願いして良かったと感じております。
-運営していく中で、他に課題となった点を教えてください。
恩田様
課題としては大きく2つ。「非常時の人員体制」と、「カスハラへの対策」です。非常時の体制というのは、東京オリンピック・パラリンピックなどの大型イベント、台風や大雪といったある程度予測できる対応にとどまらない、地震のような予測不能な非常事態への対応です。
もうひとつの課題は、カスハラへの対応です。なかには長年にわたり苦情を繰り返すお客さまと最終的に訴訟にまで発展するケースもありました。こうした件を経て、「会社としてどうやってカスハラから社員を守るか」については、当社内での大きな課題となりました。
具体的な実施内容:非常事態に対応できる体制とカスハラ対策の推進
-その2つの課題をどのように解決したのでしょうか。
恩田様
非常時の体制を考える大きなきっかけとなったのが、2021年10月7日夜に、都内で震度5強を観測した地震です。夜間帯でオペレーター配置が少ない状況で問合せ数が急増し、応答率が大幅に低下しました。この地震をきっかけに、予測困難な事態にも柔軟に対応できる方法がないか、アルティウスリンク様と検討を始めた次第です。
首都高速道路では、業務継続計画(BCP)の一環として、震度5強以上の地震が発生した場合には、勤務時間外であっても近隣に居住する社員が速やかに参集する体制を整えています。この「非常参集体制」をアルティウスリンク様のオペレーターにもお願いできないかといった協力を仰ぎ、体制を整えていったというわけです。
黒澤様(アルティウスリンク)
非常時に備えた人員体制の構築は難易度の高い取り組みでしたが、アルティウスリンクにはこれまで電気や通信といったライフライン関連業務の実績があり、非常時でも事業を継続しながら、オペレーターが安全に出勤できるための仕組みを構築・実践してきた知見があります。今回はその経験を活かし、公共交通機関が止まった際も、代替手段で出勤可能な人員をあらかじめリストアップして備えることで、非常事態発生時にも安定した運営を保てる体制を構築しました。
恩田様
もうひとつの課題のカスハラ対策として、「切電マニュアル(カスハラ対策マニュアル)」を策定しました。このマニュアルのポイントは、30分以上同じ内容を繰り返し主張、不当な要求、暴言などが発生した場合には、オペレーターが自らの判断で「電話を切っても良い」という明確なルールを定めたことです。これは「お客さまからの電話はこちらから切るべきではない」という従来の考え方を覆すもので、専門家の意見と裁判での経験を活かし、策定に至りました。このマニュアルでの運用をサポートしているのが、黒澤様からご提案いただいた音声認識システムAmiVoiceです。
黒澤様
AmiVoiceはお客さまとの会話を自動でテキスト化するシステムです。この導入により、電話対応中のリアルタイムでのアラート表示や会話履歴の確認が可能となり、スーパーバイザーがオペレーターをその場で的確にサポートできるようになりました。会話中に問題が発生した場合、保留にして状況を説明・相談する必要はありません。スーパーバイザーはAmiVoiceで履歴をさかのぼることで状況を把握できるため、すぐにフォローに入ることができます。また、切電マニュアルを実行する上でも、オペレーターの判断が客観的に記録・保管されるので、マニュアルの遵守状況も正しく検証できるようになりました。こういった支援体制があることで、オペレーターからも「電話に出ることへの恐怖心がなくなり、より丁寧な対応をしようと前向きな気持ちになれた」「何かあっても会社に守ってもらえる安心感は大きい」という声をもらっています。
恩田様
カスハラ対策開始後、約2年間でこのマニュアルに則った対応が34件発生※していますが、後を引くトラブルには発展しておらず、オペレーターが自信を持って対応できる体制となっています。
導入後の成果
お客さまの声を大切に扱い、価値に変える。
新体制が導く次のステージと今後の展望
恩田様
首都高速道路では、お客さまセンターの社内における位置付けも変わってきています。かつては「お客さまの声をただ取り次ぐだけの部署」と見られがちだったお客さまセンターが、こういったカスハラへの対応や社内向けの見学会を経て、今では社員が本来業務に集中できるよう99%のお客さま対応をクローズする「防波堤」として認識され始めてきました。こういった認知が広まった背景には、アルティウスリンクのオペレーターが発揮する専門性と、ホスピタリティある対応が大きく貢献しています。例えば目的地までの所要時間の問合せでは、単に時間を伝えるだけでなく、「目的地までは20分ですが、この先500mに落下物がありますのでご注意ください」といった、ナビには表示されない、お客さまの立場に立った追加情報の提供などは、社内見学会でもそのお客さまを大切にする姿勢に驚かれるほどです。
こうした社内でのお客さまセンター業務の重要度が高まった結果、2025年4月より、お客さまセンターはグループ会社である「首都高アソシエイト株式会社」を介した契約形態に移行しました。これはノウハウを社内に蓄積すると共に、今後の安定的な運営を確保し、密接なパートナーシップを築ける体制とすることを目的にしています。その新体制のなか、今後は単に電話を受けるだけでなく、AmiVoiceで分析したお客さまからの問合せデータを、事業や施策に活かす取り組みにも注力していく考えです。これは私たち単独では成し得ない挑戦ですから、これからもアルティウスリンクと二人三脚で、お客さま第一という理念に沿ったサービスを提供し続けていきたいと考えています。
※2025年6月のインタビュー時の内容です。
お客様プロフィール
首都高徳道路株式会社
首都高速道路株式会社は、日本の首都圏における交通インフラを支える企業です。高速道路の建設、管理、運営を主な事業とし、円滑な交通と地域の発展に貢献しています。経営理念として「お客さま第一」を掲げ、カーボンニュートラル戦略やDX推進、カスハラ対策など、持続可能で安全な道路サービスの提供に取り組んでいます。
公式サイト:https://www.shutoko.co.jp/
アルティウスリンク株式会社
アルティウスリンクは、KDDIと三井物産の共同出資会社です。多様な人財とグループのアセットを活かし、コンタクトセンター、バックオフィス、営業支援、ITソリューションなど、企業活動を支える包括的なBPOサービスをワンストップで提供しています。
人による高付加価値なオペレーションに、生成AIなどの先端テクノロジーと高度なデータ活用を掛け合わせることでBX(ビジネストランスフォーメーション)を推進し、企業の競争力強化を支援しています。 「そのつながりを、もっとつよく。うつくしく。おもしろく。」をパーパスに掲げ、人と企業、社会のつながりをより豊かにしながらお客様企業とともに価値を創造し、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
公式サイト:https://www.altius-link.com/





